弁護士会の委員会活動[前編](弁護士 石野百合子)
弁護士会の委員会活動 [前編]
石野先生は日頃から弁護士会の委員会活動に力を入れていらっしゃるイメージがあります。そもそも弁護士会の委員会活動とはどのようなものなのですか?
弁護士は、日々各々の事件に取り組んでいますが、公益的な活動が一定数あって、様々な分野について日弁連や各地の弁護士会に委員会というものを組織する等して、活動を行っています。
では具体的に石野先生はどういった委員会活動を行っているのですか?
私は3つの委員会に所属しており、子どもの権利委員会、高齢者・障害者の権利に関する委員会、犯罪被害者支援委員会に所属しています。
それぞれの委員会活動についてお聞きしたいと思います。
まず、子どもの権利委員会ではどのような活動を行っているのでしょうか?
子どもの権利に関するものを広く扱っている委員会で、大きく3つの分野に分かれています。
一つが、少年が事件を起こしてしまった場合の付添人活動に関する業務。それから、児童虐待などが最近増えていると思うのですが、そういった福祉に関する業務。あとはいじめなど、学校に関する業務。この3つが大きな軸となっています。
その中で石野先生は具体的に力を入れている分野はありますか?
私自身はこれまで少年事件に関する業務を中心的に取り組んできました。
それはなぜですか?
弁護士になる前の司法修習で少年事件に関わり始めたのですが、それから様々な環境の中で育って事件を起こしてしまった少年達に出会い、少年の更生のためにお手伝いをする「付添人」の業務に関心を持ったからです。
様々な環境の中でとおっしゃいましたが、少年にとってやはり環境による影響というものは大きいのでしょうか?
非行に至る事情のうち、かなり多くの部分を占めると言っても過言ではないと思います。まず家庭環境というところにおいては、両親から愛情を持って育てられているかと言う点で、虐待など不適切な養育があった場合には、自分に対する自己肯定感というものが持てずに、自分を大切にできず、その結果として人を大切にできない少年たちが多く見受けられます。
また、家庭環境以外には友人関係ですね。自分自身は今まで別に悪いことをしようと思っていなくても、多感な時期に悪い影響を及ぼす人達とつながってしまった事によって、引きずられるような形で非行を起こしてしまうというような人達も一定数いると思います。
友人関係と言うところに関しては、後からある程度修正ができると思うのですが、家庭環境と言うところに関しては、なかなか変えようと思っても難しいところがあるかと思います。それについて弁護士は何かできるところがあるのでしょうか?
家庭において父親母親が養育の問題性に気づいて改めて関わっていきたいと気づくケースもありますし、そういったことが期待できずに、違う環境が望ましいと考えられるケースもあると思います。後者の場合にはどういうところであれば適切なのかというところで、年少者であれば児童自立支援施設などの施設での収容が可能かといったところや、年長者であれば働きながら住み込みなどでやっていくような方法がないかどうか等、そういったいろいろな可能性を検討していくことになるかと思います。
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